この前、BSで興味深い番組が放送されました。
「長すぎた入院」という番組です。
内容
福島原発事故があり、そのおかげで福島を離れることになった多くの精神患者たち。そこで明らかになったのは、彼らが25年以上入院させられてきた事実。また、他の県の医師が調べた結果、彼らの病状は入院するほどではなかった。
彼らの病状は本当に入院が必要だったのか?
なぜ日本には他の先進国と比べて精神病院が異常に多いのか?そういった疑問を掘り下げるドキュメンタリーでした。
日本に精神病院が多い理由
戦後、日本は精神病の人々は日本に損失しかもたらさないと考えました。さらに追い討ちをかけるように、精神病であった男性が人を刺すという事件も起き、このまま野放しにしていてはいけないという風潮が広がりました。つまり、入院ではなく、収容するという考え方でした。
さらに精神病院では、一人当たりの患者に看護師がつきっきりになる必要はなく、その分儲かるという仕組みが出来上がっていきます。
結果、様々な業種からの参入が続き、世界の2割を占める、精神病院の多い国になりました。
事故によって退院できた人たちがしたいこと
「結婚したかった」
「いろんな経験がしたかった」
「家族と暮らしたかった」
「親の葬式に参列したかった」
みなさん一様に語る「したいこと」は、過去形で語られていました。
一方で、
「自由はいいな」と笑顔で話す元患者たち
精神病院から退院し、グループホームで暮らすようになった方たちの笑顔が見られました。
次の日がたのしみになる、
すきなものが食べられる、
新しい夢を持ちたい、
そう語る人々も。
グループホームか家族と暮らすか
残念ながら家族と暮らす人は少ないように思えました。
長年精神病院に入院していた実の子供でさえ、「お前は重荷だ。一緒に暮らすなんて無理に決まってるだろう。グループホームから家族に返すと言われても困るからな」とはっきり述べる親がいたり。
現実は自由だが、時には厳しい。
その会話を、涙をこらえるように聞いている元患者の方の眼差しがとても苦しかったです。
まとめ
日本で精神病院に1年以上入院してる人は18万人、
5年以上入院している人は10万人という事実には変わりありません。
世界に指摘されながらも変わらないこの現状に、目を瞑り続けることは如何なものだろうと思います。一体、国はなぜ見て見ぬ振りをし続けるのか、深掘りすればするほど見たくもない現実と向き合うことになりそうです。
NHKドキュメンタリー - ETV特集 アンコール「長すぎた入院」